道産子エンジニア

悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する

紗倉まな「最低。」

4人のAV女優が生きた世界を描いた小説。小説は人生経験が活きる作品なので、自分では知り得ないAV女優の世界を絡めて進む物語は新鮮だった。句読点の打ち方が独特なのだけど、他にもこういうスタイルで書く人はいるらしい。なんというか呼吸がズレる感覚が、人とは少し違うと思わせるような気もする。エッセイなどではないので、文章を面白く、美しく書くというわけではなく、物語の結末で何を思わせるか?のようなものだった。

AV女優も恋をするだろうし、波乱万丈な人生とは限らないし、人生のほんの断片でしかない世界。AVと聞くと過激かもしれないが、昔の恋 のようなものと変わらないかもしれない。フィクションではあるが、本当にそういう人生を送っている人もいるかもしれない。読み進めるうちに自分のAV女優への単純な偏見が少しずつわかる気がした。人に蔑まれやすい仕事、仕事じゃない、不潔不純などといった思い込みでどれほど人格を否定してしまっているか。少し考えてみれた。生き方の違いを許容できないのは、器の小ささなのかもしれない。では、たとえばAV女優と本気で付き合えるのか?と聞かれたら、今はわからないとしか言えない。不純な動機で働いている人もいるだろうし、そうでない人もいるかもしれない。それはその人に会って話して、自分で考えてみないことにはわからない。本気で愛し合っていれば理解できるかもしれない。

なーんて企画物AVみたいな妄想しながら読んでいたらすぐ読み終わった。官能小説ではないので描写もグロくはない。北海道、釧路の話が詳しく出たのは、紗倉まなちゃんの人生経験の1つからだろうし、フィクションとノンフィクションの狭間で行き来しながら読めた。最初の章は自分の人生談なのかな?とか妄想するけど、どうせAV見てる時の男の妄想と同じだろうとか冷静になった笑

紗倉まなちゃんは文学女子らしいが、本当に文学好きな人には滑稽かもしれない。だが、彼女にしか書けない作品かもしれないし、若い体だけでなく人生をかけて色々な挑戦をしている若者に元気を貰えた。

最低。

最低。